「MOMATコレクション小特集」のなかの展示。
1952年に開館した東京国立近代美術館が、1953年に開館1周年記念として開催した展覧会「抽象と幻想」展を振り返る小特集。
【「抽象と幻想」展の概要】
抽象と幻想 非写実絵画をどう理解するか
1953年12月1日〜1954年1月20日(38日間)
入場者数 16,657人(1日平均438人)
協力委員 瀧口修造、植村鷹千代
出品作家 89人
出品点数 100点
概要 歴史的な回顧の性格をもつ展覧会ではなく、同時代の動向に目を向けた最初の企画。当時の日本における前衛的な傾向として、二つの主流を形成していたシュルレアリスムとアブストラクトを系統立てて整理し、展覧会の副題が示すように、いわゆる「分かりにくい新しい絵」を理解させるように努めた。観客の理解を深めるため、各作家に自作に関するコメントを寄せてもらい、また写真や図表などのパネルも交えて二つの潮流を解説した。
今般再訪して、前回パスした「抽象と幻想」展の再現VRを見てみる。
【再現VRが完成するまでのプロセス】
1 ガラス乾板に収められた作品やパネル画像のデジタル化。
2 「抽象と幻想」展の関連資料としてを元に、出品作品と作品画像の同定作業。
4 国立近代美術館(京橋)の会場図面等の記録からゲームエンジン「Unity」を用いて展示空間を構築。
5 作品やパネルのデジタル化した画像を調査し、会場図面に従ってキャプション、作者の言葉とともに配置。
6 プロジェクターによる再現VRの投影テスト。
7 待ち受け画面、ガイダンス画面の設定。
再現VRは、「2階抽象エリア」と、「3階幻想エリア」の2種類が用意されている。
岡上作品は、「2階抽象エリア」に登場する。
岡上作品は「抽象」というより「幻想」であると思うが、なぜ「2階抽象エリア」に登場するのか。
どうやら、スペースの都合で、2階にある休憩室に展示せざるを得なかったことに起因するようだ。
再現VR「2階抽象エリア」。

岡上作品は、EV表示の下に位置する部屋に展示された。

展示室に入室する。
展示室奥の窓側には、休憩室らしく(?)椅子が並ぶ。
三壁面に、岡上作品が掛けられる。

奥から見て左手の壁面に4点。

左から、
《天使の巣》 現、高知県立美術館蔵
《夜間訪問》 現、東京国立近代美術館蔵
《室内》 現、東京国立近代美術館蔵
《終曲の午後》現、東京国立近代美術館蔵
奧から見て正面の壁面に2点、右手の壁面に4点。

左から、
《転身》 現、所在不明
《道は遠く》 現、所在不明
壁面が変わって、
《長い一日》 現、東京国立近代美術館蔵
《時の干渉》 現、個人蔵
《無情な光景》現、東京国立近代美術館蔵
《怠惰な恋人》現、東京国立近代美術館蔵

現、所在不明の2作品について、アップ画像を掲示する。
《転身》

《道は遠く》

岡上(おかのうえ)淑子。1928年生まれ。
1950年、文化学院デザイン科に入学、美術の授業での課題がきっかけとなり、コラージュを制作し始める。
1953年1月、瀧口の勧めにより、タケミヤ画廊にて初の個展「岡上淑子コラージュ展」を開催。これを機に新進の作家として注目される。
そして、同年12月、瀧口が協力委員の一人であった国立近代美術館の「抽象と幻想」展の出品作家に選抜される。
岡上作品2度目の一般公開となったようだ。
なお、「抽象と幻想」展は、89作家で100点と、1作家1点の展示が基本で、2作家は絵画と彫刻各1点。
そんななか、当時25歳の新進作家である岡上が、10点の出品で、1室が用意されたというのは、相当なことであったに違いない。
美術館サイトに掲載されている作品リストを見ると、フォトコラージュ69点を含む94点が出品されるようである。
福岡には行けそうもないので、本書籍を購入検討中であるが、本書籍には展覧会出品作全点が掲載されているわけではないとのこと。
一般書籍は、展覧会とは違って、岡上の名前が先になるのがおもしろい。